れなという名前は、私達がつけた名前ではありません。
のちに、れなの命を救った、猫おばさんがつけてくれた名前です。
初めて、うちの草むらで見かけたれなは、「みー」に濁音をつけたような声でよく鳴く、
掌に乗るほどのやせこけた仔猫でした。
母親猫2匹、仔猫が7匹、それらがうちの庭の周辺で右往左往しはじめた春の終わり、すぐそこにいるのに人に慣れず、近寄れなかったその猫の家族の中で、1匹特に小さく、特にはぐれていることの多い
仔猫が、れなでした。当時その泣き声の特徴から、うちではその仔を「みー」と呼んでいました。
見ているとみーは、ひとりでどんどんはずれの方に行ってしまい、
寄り添って母猫から離れない他の仔とはどうも性格が違うようでした。
おっぱいの時間にもうろうろ歩き回っているため、いつもお乳をもらいそこねていました。
痩せて鼻水をたらし、平気で人の手に取り上げられ、
かん高く「みー!みー!(濁音のみー)」と何かを訴えていました。
わたしは家に入れて、ミルクをやりました。
みーはまだ完全に離乳できておらず、少し飲んでは数時間眠るという状態でした。
軽い感染症で目元がただれていたのと、風邪をひいているようだったので、注意しながら人間の薬を微量に与えたところ、見る間に回復していきました。
(つづく)